ガラスの机。ガラスの本棚。石の床と壁。DJブース。ぬいぐるみ。
白い石壁に、ボックス型のコーヒーテーブルが光を放つ。
皆、家族が僕に買ってくれたもの。とても居心地のいい部屋。
親が呼んでいる。噴水に洗剤を入れろ? おかしな事を言うね。
家は綺麗だけれど、変な場所がある。
破れたソファ、汚れたリノリウム、生乾きの壁、カビだらけの浴室。
でも、そこが。
皆好きだった。家族で小さなTVを囲んで、ゲームしていた。
いつも誰かが僕達に命令する。誰かが、ずっと見ている。
僕は誰かに振り返る。やりたい事はやる。いやな時はしない。
命令されない時は、思い思いの事を出来る。
だから、変な場所に集合したのは家族の意志。
僕は今日、ここを出て行く。進学する為の一人暮らし。
寮に入って真っ先に買うのは、破れたソファー。
手続きを済ませると、親が駆け寄って来た。
「グットラック」
いつもはシムリッシュなのに。どうして今は普通の言葉なんだろう。
ああ、でも。謝る時は「ゴメンナサーイ」だったね。
本当は失踪している母が、どうして大学で別れを告げたんだろう。
さよなら、元気で。

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