煉瓦の家。フェンスを這う葡萄がつややかな葉を茂らせ、黒い梁が赤い煉瓦壁を彩る。
明り取りの丸窓に、凝った鉄細工が見える。幾度と無く通りかかり、時折ピアノの音を聞いた。
ああ。きっとここって自分の汚部屋みたく、埃が積もったりゲームが積もったり
おしりかじり体操で鴨居に手をぶつけたり、畳の上でCDケースを踏んだりしないんだろうなあ。
ネタ帳を紙飛行機にして飛ばす住人もいないんだろうなあ。
まして住人の服が、自分みたくジャージに、1000円切ってる綿入れだったりもしないんだ。
PCの筐体開けたら、すごまじい量のインコの羽根が飛び出したりもしないんだ、たぶん。
時を経て、煉瓦は更に深い色に変わる。その家は、夕日の内にあった。
汚れる事も、謎のダンボール箱が庭に置かれる事も無く。成長した木々が優しい花を付けている。
相変わらずかっちょいいなあ。ってか、早くコンビニ行かないと。あれ? 家の人だ。
煉瓦の中の住人。彼は丁寧に庭木を剪定しているようだった。その姿は穏やかで。
丸っこくて、ちょっと頭皮が薄めの、なんかステテコ姿だった。
以来、その洋館を「ステテコおじさんの家」と脳内で勝手に呼んでいる。

写真素材足成:洋風建築
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