ぺたりと目に張り付いた風景。
茶色の扉。ワンルームの小さなキッチン。コンロの上のヤカン。小さな窓。
茶色の棚と、蛇口。銀色のシンク。茶色い食器棚。
木の窓枠。やや大きな窓を挟んでタンス。青みがかったカーテン。
黒い小ぶりな本棚。その前に置かれた桃色のおもちゃ。
押入れ。赤い敷物の載った小麦色の畳。白い壁。木の天井。
見えてはいるが視界は低く狭い。段々はっきり見えてくるのが、嬉しかった。
あくびをする自分の口元に、母がポンポンと手を当てる。
父に抱えられ、一気に広がる街の景色。自分はきゃっきゃと笑っている。
空になった押入れ。家具はもう無い。
もう少し広い場所に越したので、その部屋にいた時間は短かった。
自分はじっと見ている。写真のように張り付いた、けれど写真には残ってない風景を。
今は無いアパート。0歳の記憶。

写真素材足成:父と子と
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