おお、そなたか。よう来た、よう来た。よくぞわしの石版を集めたのう。
ところでどうじゃ? このわしと戦ってみるかのう?
……おや、まことか! 祝いにこれをうけとるがええ。
魔法の指輪じゃ。動物の声を聞き、精霊を操る指輪じゃて。
持ち主は男前で賢い、ええ王様じゃ。名君じゃの。
いやあ、モテモテじゃ。それはそれは色っぽい、女王様にもモテた。
自ずと名花集いし宮殿になってのう。しかし、フラれた事もあるんじゃよ。
* *
これには、小さな羊飼いの話があってのう。
とても仲のええ、村娘がおった。許婚であり、子ども同士の友達じゃ。
娘が畑を見張っておると、そこに、あの王様が通りかかった。
なんと! 王様が、村娘に一目惚れじゃ。
可愛らしい、きれいな娘だったからの。王様相手に勝ち目は無い。
気の毒にのう。羊飼いの少年は……泣く泣く娘に別れを告げたんじゃ。
王様は、強い兵士を沢山引き連れておった。娘がどこに逃げられよう?
豪華絢爛な宮殿に、娘は連れ去られた。王様は娘にほうびを山ほどやった。
娘が望めば、ありとあらゆる魔法で願いを叶えたじゃろうな。
村の娘からすれば、目もくらむ夢物語じゃて。
しかしの。幼い娘の願いは、たった一つの事。
真っ直ぐに、ひたむきに、一つの願いを持っていた。
華麗な詩を王様に贈られ、幼い娘はおそらく。歌ったんじゃ。
王宮の美姫を前に。屈強の武人を前に。村に伝わる、牧人への恋の歌を。
王様は心から娘を好きになっておった。本当にええ王様でもあった。
だからこそ、願いを叶えてやった。娘をな、帰してやったんじゃ。
――そう。羊飼いの少年の下に。
むろん、王様は指輪を失ってはおらぬ。しかしのう。
羊飼いもまた、王と同じ魔法を使うようになった。
羊の声を聞き、大地の歌に耳を傾ける、力を。
これはつまり、羊飼いの指輪じゃ。
誰でも持つ事が出来、しかし欲から手に入れようとすると手に入らぬ。
そなたの友も持っておるぞ?
鳥が群れる場所に、魚の群れがいると、知っておる。
この指輪はのう。他の世界にあったんじゃ。
てぃあーずぽいんと? とやらに置いてあったぞ。
はっはっは、そのまま持って来た訳ではない。
その指輪を若者が拾ったでのう。写させて貰ったんじゃよ。
* *
そなた、眠くはならんのか? 移民達は大概これで眠るんじゃがの。
いやいや、長い話でラリホーを……ゴニョゴニョ……コホン!
なんと。わしにオルゴ・デミーラを倒せと申すか。
おや。冒険者達も来たな。さて、どとうのひつじと戯れるかの。
そなたも加わらんか? もうそなたの友は、充分強くなっておるよ。
わしが動かずとも、世界を守れるほどに。それが大切なんじゃよ。
……何を笑っておる。
もう帰るか? せめて守り人となった姿を、王に見せても良かろうに。
その娘さんを、大事にするがええ。そなたの冒険は長いのだからの。
王子よ。そなたの時間に、いつでも石版を置いておくぞ。
誰にも会わぬとしても。そなたはそなたの仲間と、旅を続けるとしても。
ほれ、あの姿じゃ。
石の手紙を抱えて、嬉しそうな仲間を、いつでも見に来ると良いぞ。
そなたの時間も、これからも。わしはいつでも、待っておるからの。
写真素材足成:牧場
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