かつて美術館に、ダフ屋さんが現れた事がある。
有名な人であり、確かメディア取材も受けていた気がする。良く覚えてない。
まあ。売れない。美術館は常設展ならワンコインで行けてしまうし。
特別展だけに絞っても、行きたがる方々は転売を厭う。ちょっと無理だ。
その方なのかどうかも、全く定かでは無いけれど。
しかし丁度その頃に向かった西洋美術展に、法被の鯔背なお哥さんがいらした。
それで。その人はニコニコとヤンキー座りで、とても大きな絵の前に座って居た。
偉いお貴族様の奥方様の肖像だったと思う。
ウロ覚えすぎるが、おそらくはロココ。ふっくらと透けるように白い陶器のような肌。
赤みを帯びた細い艶やかな髪は、優美に巻いて。
夢の世界から抜け出したような美女であり、とても優しそうな表情。
こうした何処かセクシーな肖像は、お見合いの際などに幸せを願って描かれたと聞く。
――『ああ、いい女だなあ』
そんな美術鑑賞、聞いた事も無い程に、最高過ぎる。
絵には詳しくないけど、なんて至福に満ちた時間なんだ。
描いた偉い画家の先生が知ったら、お墓から抜け出して喜んでしまうだろう。
ただしこれは粋なお哥さんだから、
詩的で切なく様になるのであり。
筆者が真似をしても「キャー北斎様―!」であるとか「デューラー様ああああ」であるとか。
イケメンな画家さんご本人を追っかけ、かつ歴史の成績は悪いままだろう。アカン。
今となってはそれも思い出話。でも。
元からそうだけど、都会は海外の観光客さんで溢れている。ごゆっくりどうぞ。
精悍なカレー屋さんも居るし、ハンサムなラテンさんは「山田さん」かも知れず。
綺麗なモデルさんみたいなアフリカ系のお姉さんは、通勤電車で私と一緒に詰まってる。
レジを打つ東南アジアのお姉さんは、とても艶やかなお肌で可愛い人だ。
東南アジアや熱帯アジアのムスリムさんは、噂に違わぬ美男美女。
鎖国までは、この素敵な人達と交易もしていたのが日本。だから南蛮交易と呼ぶ。
中世らへんから小氷期だったのもあるんだろう。さぞ暖かい綺麗な海が恋しくなっただろう。
昔の人が出来た事、していた事。元に戻ったとも言う。弥助さんは戦国のスターなのだ。
もしかしたら今頃。あの法被の鯔背なお哥さんは……。
今も雪駄を上手にチャラチャラと鳴らしながら、
絵から抜け出たような、西洋の伝統美女の定食屋を見つけて、
そこで陽気にご飯を食べて。ニコニコしているのかもしれない。

写真素材足成:「絵」AkinoAnn様
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